アレルギー科とは
アレルギーは、その原因となる物質を「アレルゲン」または「抗原」と呼び、アレルゲンとしては、花粉、ダニ、ハウスダスト、食物、薬物など、私たちの身のまわりには多くの種類があります。
これらによって引き起こされる疾患、具体的にはアレルギー性鼻炎、花粉症、蕁麻疹、食物アレルギーなどの診断と治療を行います。
アレルギー科で扱う主な疾患
- 花粉症
- 蕁麻疹
- アレルギー性鼻炎
- アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- 金属アレルギー
- 接触皮膚炎 など
初診の患者様にお願い
アレルギー科を初めて受診する患者様には、以下のような「メモ書き」をご用意いただくと、診療がスムーズに進みますので、可能な範囲でけっこうですのでご協力ください。
- 初めて症状が出た時期
- 症状の具体的な内容
- 症状が出たきっかけ
- その後の症状の経過
- これまでにかかった医療機関
- これまでに受けた検査の結果
- これまでに使用してきた薬の名称
- 家族にアレルギー患者がおられるかどうか
- ペットの有無
治療について
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の標準的治療であるスキンケア、薬物治療、環境整備の3本柱を中心に症状をコントロールし、日常生活に支障がなくなるように治療を行います。
症状寛解を維持するためにプロアクティブ療法を継続することで、きれいな潤いのある皮膚の良い状態が保てるようになることを目標としています。
じんましん
皮膚の一部が突然赤くなって盛り上がり、強いかゆみも現れます。
しかし、時間が経過するとこれらの症状は消えてなくなるのがじんましんです。
発症する原因として、アレルギー性、もしくは非アレルギー性の2つに分けることができますが、原因が特定できないこともあり、この場合は特発性じんましんと診断されます。
じんましんの原因には様々なものがありますが、一つのじんましんにいくつかの原因が関係したり、同じ人に2タイプ以上のじんましんが現れることもあります。
じんましんの原因は必ずしも明確にはされていませんが、そのなかでも原因が比較的はっきりしているものに、物理性じんましん、コリン性じんましん、アレルギー性じんましん、イントレランス、血管性浮腫があります。
その他の治療
食物アレルギー、アナフィラキシーのためのエピペン処方、スギ花粉症の根本治療である舌下免疫療法も行っています。
パッチテスト
原因と思われる物質(アレルゲン試料)を背中などの皮膚に貼りつけて、アレルギー反応の有無を確認する検査です。
パッチを貼り付けた部分に発赤が見られるようであれば、その物質がアレルゲンの可能性が高いと診断されます。
主に接触皮膚炎(かぶれ)の原因をみるために行われます。
アレルゲン試料には、かぶれの原因として頻度の高い金属(金属パッチテスト)をはじめ、薬剤、化粧品、ゴム等などがあり、金属パッチテストでは、金属試薬を染み込ませたパッチテスト用の絆創膏を背中に貼り、2日間ほどそのままにします。
テスト期間中は、下半身浴のみとし、発汗を伴う運動も避けるようにします。
貼り付けて2日間の後、パッチを外して判定し、その翌日、貼り始めて1週間後も判定します。
このほかパッチテストパネルによる検査もあります。
これは、日本で陽性率が高いとされるアレルゲン24種類の抗原試薬(ジャパニーズスタンダードアレルゲン)のうち、22種類(ウルシオール、塩化第二水銀のアレルゲンは除く)のアレルゲンについて一度にパッチテストが行えるというもので、背中にシートのようなものを貼り付けて、2日間そのままの状態にして、その後剥がして判定を行います。
なお金属パッチテスト、パッチテストパネルの検査につきましては、どちらも健康保険が適応されます。
舌下免疫療法
アレルゲン免疫療法のひとつで、舌の下に治療薬を投与する免疫療法のことを舌下免疫療法と言います。
これまでの免疫療法は皮下注射による皮下免疫療法しかありませんでしたが、このような服用タイプによる免疫療法も可能となりました。
種類としては、スギ花粉症とダニアレルギーによる通年性アレルギーの2種類があります。
これは、スギ花粉やダニアレルゲン(治療薬)を少量から始めて徐々に増やしていくことで慣れさせるようにし、アレルギー反応を起こさないように仕向けていき、スギ花粉症やダニアレルギーを治癒に導くという治療法になります。
完全に症状が抑えられない場合でも、症状をやわらげ、アレルギー治療薬の使用量を減らすことが期待できます。
同療法につきましては保険適応となりますが5歳からが適応となります。
スギ花粉症の舌下免疫療法
舌下免疫療法を始めるにあたっては、スギ花粉症かどうかの診察・問診・血液検査を行い適応かどうかの確認を行います。
その後、初回は院内で投与し、副作用など問題がないかの確認し、問題がなければ自宅での服用となります。
なお服用を開始するにあたっては、スギ非飛散期の6~1月の間に行わなければならず、投与期間も3~5年の継続が求められます。
舌の下にスギ花粉を含む治療薬には、錠剤タイプのシダキュア(1分間保持した後で飲み込む)と液状タイプのシダトレンがあります。
シダキュアでは1日1回、舌下に1分間錠剤(1錠)を保持した後に飲み込みます。
服用2週目以降はスギ花粉の量が多いタイプの錠剤に切り替えます。
液状タイプのシダトレンも1日1回の服用で、舌下に滴下し、それを保持させたまま2分間程そっとしておき、その後に飲み込みます。
日を追うごとに量を増やしていき、服用2週間目に増量タイプの薬剤を使用します。
薬液を飲み込んだ後5分間は、うがいや飲食はしないでください。
ダニアレルギーの舌下免疫療法
ダニアレルギーの舌下免疫療法を行うにあたっては、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎の確定診断が必要で、問診や血液検査を行います。
そして適応の有無が確認され、医師が必要と判断した場合に治療となります。
スギ花粉とは異なり、服用期間の開始時期に制限はありません。
治療ではミティキュアと呼ばれるダニを含む成分の錠剤1錠を1日1回舌下に1分間ほど保持してから飲み込みます。
その後5分間は、うがいや飲食はしないようにします。
また、薬を服用する前後2時間程度は、激しい運動、アルコール摂取、入浴などは避けるようにします。
なお初めての服用する場合は、副作用の確認も必要なので医師の監視下で行いますが、2日目以降は自宅で服用します。
少量から服用し始めて徐々に増やしていき、その後決められた一定量を数年間にわたり継続して服用していきますが、3年以上治療を継続することが推奨さえています。
アレルギー症状が軽減、あるいは長い間にわたり抑えられるようになります。
なお、舌下免疫療法による副作用には、口の中の浮腫、かゆみ、不快感や喉の刺激感、耳のかゆみなどが報告されています。
また重症になるとアナフィラキシーなどの症状が出ることもあります。
このような症状がみられたら速やかに担当医師にご相談ください。