小児皮膚科とは
子どもによく見られる皮膚症状あるいは皮膚疾患を中心に診療するのが小児皮膚科です。
アトピー性皮膚炎、じんましん、あせも、とびひ、いぼ、水いぼ、おむつかぶれ、乳児湿疹といった疾患のお子様がよく見受けられます。
子どもの皮膚は角層が薄く、また皮脂の分泌量が不安定なことから、角層の役割として重要な外部環境から体を保護する「バリア機能」が未熟です。
そのため、少しの刺激で湿疹や皮膚炎が生じたり、細菌やウイルスに感染したりするなど、皮膚トラブルが生じやすい特徴をもっています。
そのためお子様の皮膚は、成人に比べて非常に繊細ですので、大人以上にスキンケアが大切です。
ケアの仕方がよくわからないという保護者の方には、その方法を丁寧にご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
小児によくみられる皮膚疾患
- 乳児脂漏性湿疹
- じんましん
- あせも
- とびひ
- いぼ
- 水いぼ
- 小児性アトピー性皮膚炎
- おむつかぶれ
- 手足口病
- りんご病
- 水ぼうそう など
小児によくみられる代表的な皮膚疾患
いぼ・水いぼ(伝染性軟属腫)
いぼとは
ウイルスの感染によって、子どもの手や足の裏にいぼができる病気を尋常性疣贅(ゆうぜい)と言います。
これは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というウイルスが原因です。
ヒトパピローマウイルスには、100種類以上の型が存在することが知られています。
健康な皮膚には感染しませんが、小さな傷口があるとそこから感染し、発症するようになります。
最初は平らで小さないぼですが、だんだん大きくなって盛り上がるようになります。
痛みやかゆみはありません。大きくなると、表面がザラついて硬くなります。
なお足の裏に生じたいぼは、常に圧迫を受けているため盛り上がりませんが、歩くと痛みが出ることもあります。
治療法としては、液体窒素でいぼを凍らせる凍結療法、ヨクイニン(ハトムギの種皮を剥がした天然の成熟種子)と呼ばれる漢方薬の服用により免疫力を上げて治す方法などがあります。
これらのなかから、最も適していると思われるものが選択されます。
いずれの治療も、多くは1回で治すことは困難なので、何度か繰り返し行います。
水いぼとは
正式には伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)という病名の水いぼは、伝染性軟属腫ウイルスによる皮膚感染症です。
これは幼少児によく見られるもので、かゆみを伴うこともあります。
水いぼは、乾燥肌やアトピー性皮膚炎のある患者様に多く見受けられます。
これらの症状があると、皮膚の「バリア機能」を低下させ、細かな傷からウイルスが入り込みやすいこと、かゆみで引っ掻くことにより、爪先からうつってしまうことなどにより、発症しやすくなると考えられます。
また、水いぼはプールでよく感染しますが、これは水から感染するというよりは、皮膚の接触やビート板の共有が感染の原因となるようです。
治療については、いわゆる除去という方法になりますが、その場合は、専用のピンセットで一つずつ摘まみ、内容物を出すというのが一般的です。その際に強い痛みが生じるので麻酔のテープ(ペンレステープ)を用います。
乳児脂漏性湿疹
乳児は、生後2~3ヵ月ぐらいまでは、ホルモンの影響もあって皮脂が過剰に分泌される傾向にあります。
この皮脂が過剰に分泌されることによって起こる皮膚トラブルを脂漏性湿疹と言います。
この湿疹は、おでこや頭部、耳の周辺、股部、わきの下など、皮脂線の多い場所に発生しやすく、湿疹はカサカサしたものから、ジュクジュクしたもの、分厚いクリーム色のかさぶたが付着するものまでタイプは様々です。
なお、乳児脂漏性湿疹は乳児期によく見られる一過性のものなので、ケアを正しく行えば、それだけで改善することもあります。
ただし、湿疹がひどくなってくると治療が必要です。
治療に関してですが、スキンケアで改善することが多く、炎症が強い場合は短期的にステロイド外用薬を併用します。
なお、乳児期の慢性的な湿疹は、アレルギーになる一因であることが知られているので、アレルギーを予防するためにも、適切な治療と正しい皮膚のケア指導をお受けになるよう、お勧めいたします。